No.2

4) ホースマンシップ

 馬への近づき方で、皆さんが身につけなければならないことは、「ホースマンシップ」です。
 馬のどこへ、アプローチするかということばかりをここで学ぶことは良くありません。馬の体に近づくということは、同時に馬の心にも近づくということなんだということをしっかりと認識していただきたいのです。
 と言っても大袈裟に考える必要はまったくありません。馬の精神状態がどうなのかを気にしながら馬に接するということなのです。
 人間は、他の動物に対して傲慢になりがちな動物だということを認識しなければなりません。虐待するのは論外ですが、知らず知らずの内に動物を不幸な目に遭わせていることがあるのです。
 一方的に愛情を動物に注いでいれば、かってに動物は幸せだと思いこんでいるということです。
 最近よく見かけることなのですが、犬や猫の肥満です。見苦しいぐらい太っている姿は、動物を虐待しているのとまったく変わらないということなのです。一方的に愛情をペットに傾けてさえいれば、ペットは幸せだと思いこんでいる。幸せなのは人間だけで、ペットはいい迷惑をしているのだということを知らなければならないのです。
 同じように「ホースマンシップ」とは、馬の習性などの特徴やその馬の性質などを良く知って、馬に接する。また馬に愛情を傾けるということなのです。
 しかし、その一方で、愛情の中に馬と人間の主従関係を厳格にするとか、馬のわがままをゆるさないとかといった厳しい面を兼ね備えたものを「ホースマンシップ」というのだということをしっかりと認識して欲しいのです。

第2部 引き馬の仕方

 引き馬では、人が馬に気をつかうのでなく、馬が人の動きに気をつかい、それに沿って馬が動くという考え方が基本です。
 人が進めば馬はそれに沿って進み、止まれば止まり、後退すれば後退し、方向を変えれば変える。
  さらに、歩いているとき、決して馬が人より前へ出てはいけません。歩く速度も人に会わせた速度でなければなりません。これは、人が馬を引いて歩く上で、互いの安全を期すためにたいへん重要です。
 そして、リードロープ(引き手)を人が引っ張って馬を誘導するのではなく、あくまでも人に馬がついてくるということです。

1) ホルター(無口)の装着

  普通、馬はロープを首にかけられただけで、繋がれているのに近い感覚を持ちます。これを利用して、馬の左側に立ち、リードロープ(引き手)を馬の首にかけます。次に、ホルターの右側で長い方の端を馬の首へ、馬の首越しに右手で持ちます。そしてホルターの左側の短い端を左手で持ち馬の鼻先をホルターへ入れるようにして、ホルターのバックルをかけます。

2) リードロープの持ち方

 リードロープは、自分の腕のヒジから手までぐらいの長さを余して右手で持ちます。そして、リードロープの残りの余った分を、左手に輪にしたりして巻き付けないようにして持ちます。
 何故、ヒジから手までぐらいの長さを余すかといいますと、馬の不意の動きに振り回されにくくするためと、あまり長過ぎれば不意の動きに加速がついてしまうのでこれくらいの長さが適当だといわれています。
 また、左手に何故、巻き付けないように持つかというと、やはり馬の不意の動きがあったときに、巻き付けておくと指の1本や2本失いかねないからなのです。

3) 引き馬の仕方

 それでは実際に歩いてみることにしましょう。
 リードロープは、引っ張らずに軽くゆるんだ状態を保つようにして持ち、まず自分が歩き始めてみましょう。
 馬がこの緩んだ状態を保とうとせずに、他に気を取られたりしていた場合は、軽くリードロープを引いて注意を促しましょう。そして、絶えずリードロープのゆるみが保てるように注意しましょう。
 停止する場合は、歩き始めと同じようにリードロープを引っ張らずに、まず自分自身が停止しましょう。もし馬が停止しなかった場合は、リードロープを引いて2ないし3歩バックさせて叱ります。再び歩き始めそして停止します。
  この時馬が自ら停止すれば愛撫してあげましょう。これを2、3回繰り返せば簡単に人に従って停止するようになります。

4) 引き馬の対処方法
 馬が、人の動きに合わせて動かなかったり、リードロープを引っ張らないとついてこなかった場合は、馬の横に立って、リードロープを少し刺激的に引きます。そして直ぐゆるめます。
 すると、馬は人の立っている方向へ向かされることになります。そしてまた馬の横へ移動して、リードロープを引きます。これを繰り返しますと、人が体を動かすと馬はそれについていこうとします。この時に馬を愛撫して褒めてあげましょう。
 これで、人の動きに合わせて馬が動くようになります。実際には、馬が若いときにしっかりとしつけておくことが大切です。


HOME

Eldorado Ranchへのメール reining@eldorado-ranch.com
TEL 043-445-1007  FAX 043-445-2115