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 人間は、馬を生活の機動力として取り入れたことで多大な恩恵に預かり、馬は人間に家畜として飼育されてきたので現代まで生存できたとも言われています。  乗馬は馬と人間の相互依存の形で成り立っているものだということが出来ます。さて、これから乗馬を始めようと考えている人や、まだ初級者だという人にとってどんなことを注意して乗馬を楽しめばよいのでしょう。

乗馬の常識

 一般的日本の乗馬の、常識的な点について指摘してみたいと思います。  これから話すことは、みなさんにとって理屈抜きで身につけてしまったことではないでしょうか。クラブのインストラクターや先輩を見習って覚えたことだと思います。

1. 馬の後ろに回らないようにしましょう。蹴られますから。

2. 気をつけて馬に近づきましょう。蹴られたり噛まれたりしますから。

3. 馬の機嫌を取り、ホーラホーラと声をかけながら、裏堀をしたりブラシかけをしたりしましょう。蹴られたり噛まれたりしないように。

4. ハミは、馬の下からすばやく取りつけましょう。ハミを嫌がるのは当たり前ですから。

5. 馬の前に立たないようにしましょう。噛まれますから。

6. 放牧中のなかなか捕まらない馬を捕まえたいときは、人参で馬を釣りましょう。

7. 馬が機嫌を悪くしたり怒ったりしたときは、愛撫したりして機嫌を取りましょう。

8. 馬の回りで大声を出したりして騒いではいけません。馬が驚いて暴れますから。

9. 下馬するときは愛撫してから降りましょう。降りた後にでも人参をあげて馬の機嫌を取りましょう。

では、諸外国で、常識だと言われている点について指摘してみましょう。

1. 馬に自分を見せながら近づけば、どこから近づいても構いません。普段どこから近づいても良いように馬を訓練しておきますから。

2. 人がリラックスして緩やかに馬へ近づきましょう。馬の緊張をゆるめるには、まず人がリラックスすることです。そうすれば噛んだり蹴ったりしません。  万が一噛んだり蹴ったりしたときは、きつく叱って、その時にきちんとマナーをしつけます。

3. 馬をたいへん可愛がりますが、機嫌を取ったりは決してしません。馬が、人の機嫌を取るようにします。

4. ハミやホルター(無口)は、馬の頭を下げさせ簡単に、馬の上からつけます。訓練すれば簡単に馬がすすんでハミをくわえに来るようになります。

5. 人は、馬の後ろでも前にでも平気で立ちます。蹴ったり噛んだりしません。

6. 放牧中の馬を捕まえるとき、決して餌で馬を釣ったりしません。もし馬が逃げたりすれば叱るし、馬が近寄ってくれば愛撫しますから、自然に馬が人に近寄ってくるようになっています。

7. 馬が機嫌を悪くして、人に反抗すれば容赦なく叱って絶対服従を馬に求めます。馬の機嫌を取ったりするようなことはありません。

8. 下馬する前に、馬の精神と肉体を充分リラックスさせます。そして下馬した直後に腹帯を少しゆるめてさらに馬がリラックスするように勤めます。 運動の直後に飲食をさせません。

 日本と諸外国を比べると、あまりにも常識に開きがあるので驚いてしまいます。 短い言葉でこれを表現すれば、日本は、人が馬に乗るために人を訓練し、外国では、人が馬に乗るために馬を訓練するという、はなはだしいくらいの違いがあるのです。
 初級者と上級者との違いは、人が馬に乗っているときの馬に対して与える影響の多さの違いだということが出来ます。つまり、初級者は馬に影響を与えるより馬から影響を受ける度合いが多く、コントロールに不自由するし、上級者は、馬に影響を与える度合いが強いので、うまくコントロールができるのです。

第1章 ハンドリングからタックアップまで (馬への接近からタックアップまで)

第1部 馬への近づき方

 それでは、馬への接近の仕方から始めることにしましょう。
 馬はたいへん臆病で驚きやすい動物だということは、常識として皆さんも良くご存じだと思います。人間の10倍もの恐怖感を持っているとも言われております。
 簡単にパニックに陥りやすいので、例え叱るときでも、人間の方が気持ちを冷静に保ちゆっくりとしたペースで接するように心がけましょう。
 しかし、恐がりだということに併せて、身を守るために何かに頼るという依存心が旺盛です。群をなしてボスの存在する社会を形成するのもその現れだと言えます。

1) 馬へのアプローチの場所

 馬への近づき方には、馬のどこへ近づくのが良いのかということがあります。 それは、馬の肩に近づくのが一番良いとされています。馬が群を成しているときに仲のいい馬同士のフレンドシップの方法が、互いの肩と肩を触れ合うことから応用しているのです。
 馬の斜め前方から肩へ、ゆっくりと近づくのが最も良いのです。 次によい場所は、真横からになります。そして次は正面。一番良くないのは、真後ろという順になります。

2) 馬へのアプローチの心得

 たいへん大事なことは、どこから馬に近づこうが、自分の姿を馬に良く見せて近づくということです。例え斜め前方から近づこうが、馬が他に気を取られていたりしたら、人の接近を、急に気づいたとき、驚いて逃げたりしてしまいます。
 もう一つ大切なことは、いつも一番いい方法で近づいてばかりいると、他の場所から人に近づかれることをどんどん嫌がるようになってしまうものだということです。
 従って、馬の肩や腹やお尻などの色々な部分へ、自分を見せながら近づいて、普段どこから近づいても人間への信頼を損なわない馬にしておくことが大切なことなのです。

3) 注意事項

 人が馬に近づこうとしたとき、耳を後ろに伏せたり、お尻を人の方へ向けたりしたときは、噛んだり蹴ったりする恐れのあるときなので注意しなければなりません。
 これを矯正するには、その時に叱るということです。がしかし、初級者には荷が重いのでその仕方は次の機会に譲るとして、対処方法としては、自分を大きく見せるということです。例えば、馬が耳を伏せたりしたとき、手を広げたりして自分を大きく見せて、馬にプレッシャーをかけます。


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