第五部 VOL.25
冒 険

Ranchに来てから6時前の起床は初めてかな? 予定通りに遠出らしい。
朝食は、途中のコンビニエンストアで買うとの事で馬房に向かうと、
既にコンボイ風の馬運車2台に馬が12頭を分乗して出発準備は整っていた。
何処に行くかは分からないが、この間オースチン(以前に行った試合会場の町)
へ行った道と同じなので、また試合でも行くのかなと思いつつ走る事2時間、
どこか大きな牧場に入った感じだが個人所有かどうか分からない。
やはり思った通りのところだった。Equine Teaching Centerと書いてある。
牛が借りられてCuttingもRopingも訓練が出来る施設らしい。
この日については、何をしたのか日記に記して無いので定かでなく記憶にもあまり残っていないが、
一生懸命思い出しながら書くことにする。到着してみると、トレーラー(馬運車)が1台増えて3台に、
そして運転していたのは、俺を空港に迎えに来たNoniだった。
「凄げぇ 女の子がこんなデッケェのを転がすんだ」
そのトレーラーには、馬6頭の他に牛が8頭を積んであった。
そしてCuttingの調教で大半の時間を費やしたが、
いよいよ俺にもレッスンの番が回ってきたなと思って、少し緊張してきた。
そして、何時の間にかRoper達が集まってきた。その中には可愛いCowgirlがいる。
この人達は、Team Ropingの連中らしい。
牛をシューターへ追い込む役の人、手には先端が電気ショックを与える端子のついた棒を持っている。
それに、掛かったRopeを外す役の人、牛を再びシューターに戻す役の人などの役割分担が決まっている。
それらの人達は、それぞれの役割を順番に交代しながら交互にローピングの練習をする。
彼らの練習風景を見た第一印象は、「やはり彼等(彼女等)は、上手だ。」ということだった。
Jamesが、俺を皆に紹介してくれた。「日本からローピングを単身で習いに来たRowdyと云う私の友達だ。宜しく頼む。」
やっと来ました俺の出番が、土岐さんが買って置いてくれたRowdy’s Horseに初めて乗るわけだ。
「Rowdy、君の馬だよ、さぁ乗りなよ。」
と言われ時、なんとなくその馬に対して、愛着が沸いて来るもんだ。
自馬を持っている人は皆こんな気持ちなんだなと思った。
いよいよ実戦である。
ロープをループ(Loop)にして小脇に挟み準備完了、顎をしゃくり上げシューターマンに合図、
(日本では、合図を送るとき、顎を引くようにして頷くようにするが、
アメリカでは、顎をしゃくり上げるようにするのが合図だ。)
シューターから牛が飛び出す、それ行けと言わんばかりに、レーンハンドを前に突き出し、
スィング(Swing)しながらキャトルを追いかけて、ロープを投げる。
すると掛かっちゃった。とりあえずDally Dally。(Dallyとは、掛けたロープをサドルホーンに巻き付けることだ。)
そして、ダリーしたら直ぐに、馬をレフト方向へヒーラー(Heeler)のためにターンさせるが、
ただ何も考えずに、ダリーしたら直ぐに馬を、ターンをさせるのはいけないらしい。
ダリーしたら先ず馬のスピードをスローダウンして、それからレフト方向へとターンするのが正しいということだ。
馬を絶えずコントロールしていることが大事で、ダリーしたからといって自動的にターンしてしまうと、
馬が勝手にターンしてしまうようになるので、一旦スローダウンして牛のスピードを一旦落としてからターンするようにするのが正しいということだ。
このことが一番注意されたことだ。結局2日間、このセンターへ通って、カッティングとローピングを行ったのである。
2日間遠出したので、今日はランチでキャトルのダミー(Cattle Dummy)を使っての練習。
それにカッティング(Cutting)のトレーニングの手伝いだった。2頭の馬に乗せられたが運動だけに終始した。
その間、Jamesは馬場のフェンスにカッティング用のダミーをセッティングしていた。
このカッティング用のダミーは、アリーナフェンス沿いにワイヤーを張って、
そのワイヤーに牛の格好をしたダミーが括ってあって、そのワイヤーをリモコンの操作で左右に動かすことができる。
このダミーの動きが軽やかで素速く反転したりするところから、凧に似ているところからカイトと呼ばれているらしい。
やっとそのダミーのセットが完了したら、
「Rowdy やってみな」
「えっ俺が」
「大丈夫だから」
言われるままに馬上へ、片手でレーンを持ち、もう一方の手でサドルホーンに掴まって、
後は馬任せにして何もしない。カイトが移動した瞬間、馬は素早く動き、カイトを追いかける。
そしてカイトに追いつく。するとカイトは、逆走する。すると馬は、ロールバックをして、カイトに遅れまいとして疾走する。
これを繰り返す。俺の馬の素速い動きについて行けずに、体は硬直している。
しかし段々慣れてくると結構気持ちのいいもんだ。良い経験を積んだものだ。
ついでにJamesが、ローピングのレッスンをしてくれた。
俺のRopingの問題点は、スィングにあるらしい。Jamesから見ると、
横に腕を振りながらもスローイングするときに上から腕を振っている。
[俺が日本で皆に教えてたのは、間違いか?]また、スィングしているときに、手の甲が顔の前まで来ていて、
そのことによってロープが正面まで来てしまって、
馬に乗っていることを想定すると、そこには馬の首があって障害となってしまうということで、
ダミーだと前に障害物がないのでそのことに気がつかない。
また、スィング全体が低くしかもロープのティップ
(Tip ループの先端、または人差し指側。その反対で小指側をボトムという。)
がダウンしていないと指摘されたのだ。更に、ロープに安定感がなく、
掛かるときと掛からないときがあって、むらがありすぎるということだった。
指摘された事は、腕は耳の後ろに振り上げること。
左肘(Rein)は軽く脇腹に付けロープのコイルとレーンを持つ。
馬の斜め前方をキャトルが併走するので、ロープのティップでキャトルのヘッドを狙う。
そしてキャトルのレフトホーンを目指してストレートにスローする。
実戦面では、キャトルをキャッチしたらスラック(ロープが緩んでいる状態)
しているロープを後方へ引いて、(ロープを後方に引く)ダリーする。
ダリーすると同時に馬をスローダウンさせて、スローダウンすることでキャトルは
レフト方向へとヘッドを引っ張られる格好になる。
そしたら馬をレフト方向へとターンする。
今日で実践練習は、最後になるだろう。何故なら、JamesはじめStaffが週半ばにオクラホマシティへ出かけるらしいからだ。
----------------------------------------------------------------------
10月14日
昨日から気温が下がり曇り、一昨日までは「Roedy馬のフィード(食事)だ」と声を掛け
られていたが、厚手の上着を持っていないので、気を遣ったらしく今日は声を掛けられずに、
一日中部屋の中で過していたら、夕方6時頃(現地ではまだ明るい)、コール(Jamesの息子)
が友達を連れてきた。その友達が銃を持って来て、
「Rowdy 撃ってみないか」
と誘われて、口径が22でちょっと小さかったが、それでもうれしかったよ。
「ターゲットがないと面白くないよ」
とその小僧が言うので、池の中に棒切れを投げ込んでやって、数発撃つが当たらない。
今度は俺に撃てと渡された。日本人が完全に舐められているなと思い、大人気ないが真剣に
発砲6発中3発が命中し、小僧が悔しがること、内心優越感を禁じ得なかった。
後に分かったことだが、Charlieはウェンチェスターライフル銃を、Deckyはコルトのリボルバー
(回転式)を持っているらしい。
----------------------------------------------------------------------
10月15日
今日も朝から雨だし寒いから俺を起こさずに2人フィードをやりに出て行った。
今日は、一日何をして潰そうかと思っていたら、Brandonがやってきた。
「Rowdy ブーツを履け」
彼は自分のコートを俺に貸してくれて、事務所の前まで行くと、そこにはJames達がトレーラー
2台と待っていた。
「Teaching Center に行くぞ」
「今日は、日本へのお土産物の買い物じゃないの?」
「買い物は、オクラホマでするから早く乗れ」
2時間の行程でCenterに着き、Cuttingのトレーニングを始めたのが13時頃、12頭をStaffが
準備運動しJamesが調教、俺がDummy(カイト)の操作、トレーニングが終わって現場を出たのが
19時頃、途中で夕食を食べて帰り、馬を馬房に入れてフィードをやって、シャワーを浴びて
寝たのが23時過ぎていた。
----------------------------------------------------------------------
10月16日
早いもので残り一週間、あまり天気は良くない朝を迎えた。
Jamesに「Rowdy Do you want to go town ?」 と聞かれたので、「OK」と答えた。
スタッフも一緒に洗車に行くということで、Charlieが「どちらの車に乗って行く」という用な事を
聞いてきたので、本当はJamesと応えたかったが、聞いてきたのがCharlieだったので、
日本人の奥ゆかしさと遠慮が邪魔をしてCharlieの方を指したら、
「あっ そう Rowdyは、そっちなんだ」
とJamesがそんなジェスチャーをしたのでこれではいけないと、Jamesの方に飛び乗ったのでした。
明日一日で、このRanchとさよならをしなくてはならない。明後日からJames一行はショーとセールで、
オクラホマ州のアードモアとオクラホマシティへ3泊4日の旅に出るという。
俺もアードモアまで同行する。「そこでは、Daleが待っててくれる。」とJamesは云う。
その夜、俺の面倒をみてくれた2人のCowboyに「色々世話になったね」とお礼を言って置いた。
何故なら、彼等は翌日曜日にはRanchに帰ってくるがオクラホマシティからこの地まで8時間掛かるそうだ。
アードモアで彼等とはお別れなので、旅の途中ではゆっくりと別れを惜しむ時間がないと思い、
少し早いが別れを惜しんだのだ。
----------------------------------------------------------------------
10月17日 テキサス最後の日
今日一日は、馬に乗りぱっなしだ。
まずカッティングホーストレーニングの手伝い。
アリーナにキャトルを15頭位追い込み、ラウンドアップをしてキャトルが群れを作るようにして、
カットした以外の牛を群れに戻すようにする役(ターンバック)を努める。と言っても、初めての事だから要領が分からない。
両手を広げて「Oh NO」とジェスチャーをしたらCharlieが見本を見せてくれたのでやって見た。
カットするキャトルを選びカットすると一緒にキャトルが5〜6頭ついてきてしまうので、ターンバック
がよけいなキャトルを群れに戻すのだ。初めは難しかったが、落ち着いてくるとまあまあ出来てくるもんだ。
午前中のトレーニングが終りに近くなった時、何気なく牛の前を馬に乗ったまま歩いたら、
キャトルがサーッと横に動いた。とその瞬間、馬が反応してロールバックした。危うく落馬しそうになった。
James曰く
「Rowdy This is Cutting horse.」
その日の夕方は、最後の日とあってかJamesファミリー、Cowboy達、隣人達が集まりパーティだ。
Jamesの奥さんがビデオを回してくれて、記念にそのビデオを渡してくれた。最高の思い出に。明日は早い。
馬運車3台に分乗、一路オクラホマへ出発。アードモアに着いたのは夕方。そこで、皆で食事し、モーテルで俺とコールは同室。
一夜明けてモーテルのレストランでコールとブレックファストに、食べ終わり勘定を払う時、
俺が払おうとするとコールが払わなくていいと言う。それじゃダメと押し問答、
コールはおかあさんに聞いてくるといって立ち去り戻ってくると、
「Rowdyは、ゲストなのだから払わなくていいとおかあさんが言ったよ」
「えッ 俺は、お客だったんだ」。
改めて土岐田 勘次郎と云う男の顔の広さを感じた。
そしてアードモアのハウディマーフィーコロシアムへ行き、アリーナの中で見た事のある人がいた。
EWPCコングレスのジャッジにも来てくれたTim Lynchだ。しばらくすると、
Daleもやって来たが俺には気づいていないらしく、Jamesの奥さんに合図を送り、
「驚かそう」と言うと大いに喜んでいた。
馬のオークションで、一般的にセールスと呼んでいて、カッティングホース(Cutting Horse)
レイニングホース(Reining Horse) ワーキングカウホース(Working Cow Horse)などで、
この時はある程度のパフォーマンスを見せてオークションを行うというもので、
[格好がいいなぁ]と思ったのがワーキングカウホースでした。
一日の滞在でしたがアードモアからお別れで、
Jamesが
「買い物が出来なくて悪かったね。
Peggyが明日は空港まで送るから
途中で買い物して行って」と、
親指を立てて
「Good Luck」
辞書を片手にPeggyさんと一路テキサスへ。
その時のPeggyさんの格好がとても可愛いので、買い物をした途中で写真を撮らせてと頼んだ。
「明日は朝5時に迎えに行くから仕度をしておいて」と言われたので、準備万端で眠りに着いた。
しかし、思いのほか疲れたのか熟睡してしまったのだ。
何度かコンコンとドアの音が聞こえたような気がして、ふっと我に返り部屋を飛び出すと、Peggyさんが立っている。
その姿が昨日とは違い、これ又素敵だ。見惚れている場合じゃない、謝りながら身支度を済ませピックアップに乗り込んだ。
「どう昨日の買い物は気に入った。値段は高いそれとも安かった」
「安かったよ、Very Happyだ」
こんな事を語りながら夜明けの空港に到着、荷物を預けてロビーまで送られて
「それじゃ」とPeggyさんにハグされた。
再び訪れることは無いと思うが
「さようなら南テキサス、ありがとうCowboy達」
|