Jackの所へは色々な人達が遊びにやってくる。
そして
「日本から来たやつだ」
と紹介をしてくれる。するとアメリカに来るからには多少の言葉は話せるだろうと思っているのだろうか、べらべら話し掛けられる。
そこへ又Jackの助け舟
「そいつは話せないんだ」
と云うが話し掛けられる。
「ほら日本で一番高い山はウ〜ン何と言ったっけ」
「マウント富士」
「そうそうマウント富士だ、俺は横須賀にいたことがあるんだ」
「兵隊さん」
「そうだ。ところでお前さんの日本名は何と言うのか」
教えたら
「これは難しい、やはりRowdyが呼びやすい」
また、アメリカに来て中日くらいにJackとTokiの三人で町に出かけた帰り道のこと鉄道を見ることが出来た。線路を見て日本と比べてしまったが、やはり半端じゃないよ一本のレールは地平線に吸い込まれている。客車は見る事は出来なかったが貨物列車の長い事、貨車をみてビックリ、今は廃止されてしまったが日本のワム車の2.5倍はあるね。
鉄道と道路が並行に走っているその時に遭遇したのだ。対面(すれ違い)から、三重連(機関車が三台)で引っ張っている。
「うゎ〜凄げぇ」
Jackは俺の職業を知っていたので
「自分の職業を思い出して日本に帰りたくなったのか」
すれ違いに走っているが最後部が見えてこない、丁度道路がカーブに差し掛かり線路と道路の距離が段々離れてから最後部が見えて来た。その後部が見えなくなるまで見ていたら首が痛くなってしまったのだ。
「なるほどジョークではあるが、踏み切りで列車が通過するのを待っていたらあまり長いので寝てしまった。でもジョークとは思えないほど長い編成だ」
昨日は思いがけなく鉄道を見ることが出来たが、今日はJackの息子とその友人の三人の模範実技を披露してくれるとの事でビデオを回した、あまり馬場は良くなかったが。息子は中肉中背(アメリカ人としては)だが背は俺より少し高いがその友はデッカイ、背丈は180以上で体重は100kはあるんじゃないかな?
三人ともHead Heel両方やるが、俺が感じたのはJackはどちらかと言えばHead、デッカイのもHeadだが息子はHeelも上手だったね。この二人はコンビで賞金稼ぎに大会を回っているみたい。テレビで見ていても迫力はあるが、本物を実際目のあたりに見ていると地響きが伝わって来る分だけ迫力満点である。
「俺も何時の日か」
と想いつつとうとう最後の日がやってきてしまった。
「もう二度と来れまい」
最初で最後、最後の日も最初の日と同じように厩舎の入り口にDummyをセットし後ろ髪引かれる思いだが(もう少し居たい)一投々々投げ始めた。Jackは少し遅れて来て椅子に腰を下ろし俺のRopeがヒットする度に相変わらずの声張り上げて
「Good」
彼も最後の日と思ってくれているのか椅子から立ち上がりお浚いとばかりに指導してくれた。
一段落し汗が引っ込んだので再びRopeを掴みDummyに近づこうとした時
「Rowdy、牛を使いたいか」
「えッ、使わしてくれるの」
来てまもなく体験させてくれたが、"まだお前には早い"と思われていたんだと勝手に決め込んでいたから完全に諦めていたのだ。
「勿論さ、サドルアップしなさい」
彼の優しさからか"日本に帰ったら出来ないんだろうから、もう少し体験させてやろうじゃないか"と思ったかどうか分からないけど。
「俺が先に行き右サイドから追い込むから、Rowdyは左サイドを固めアリーナの入り口に追い込むんだ分かったか」
「はい分かりましたフェバーさん」
「さぁ行くぞ、出発」
鞭の音高く イャーと駆け出したのである。
つづく