私がはじめて馬に乗り、牛にRopeを掛けたのでなくて掛けようとしたのが、ン十年前、確か御殿場近辺で馬の大会があり、雰囲気作りに借り出されたCattl TicksのMemberと参加した時。
この時はまともにRope Dummyにさえ満足に掛けられないのにRopingがやりたい一心、いま思えば恥ずかしいが、自分の我が儘と言うか?これがやりたいと思うと歯止めも利かなくなってしまい後でゾーとする。
初めて乗った(跨った)馬の時も乗りたい一心で、乗った事があると嘘をついた。乗った馬がピクとも動かなかったからいいもの突っ走られて落馬していたら今、馬には乗ってはいなかっただろうし、あの時(御殿場)本当にRopeが掛かってしまい(牛に)後の処理(未経験の為)が出来なかったら大変な事になっていたのでは。
段段勉強していくと基礎というものが如何に大切かが分かってくるから今思う方がもっとゾーとする。
しかし私に取り付いてしまったRopingの夢は覚めようとはせず、いまこうして本物に挑戦して手解きを受けている。実感!
誰にも分からないだろうなァ ウッフフフフ俺にしか。
今日のレッスンは、Heel。(牛の後ろ足にRopeを掛ける)鉄パイプで組み立てた足だけのDummy、それをJACKが馬で引き、私が馬に乗って掛けるのだ。
地上でHead Dummyに掛けるのは"まあまあ"であったと思っているが、Heelは自信は無い、一応真似事はやったがまさかいきなり馬に乗ってとは。でも日本に帰ったら絶対に出来ない、とにかく挑戦する事が大切、経験する事も大切、足に目掛けて投げていればかかるだろう、それも馬に乗ってだ。
JACKはいやな顔一つもせずにDummyを引っ張ってくれている、一度も掛からずに終わってしまった、当たり前である。
HeelはHeadと違いLoopを斜め40〜45度位に回すしLoopの大きさも倍位大きい。Ropeのどの部分を絡めるのかのかさっぱり分からん。これではいっくら練習してもらちが開かん、それでもJACKは何とかして俺に覚えさせようと午後からHeelの練習となった。
そして次の日に大変な出来事が起きたのである。
「Rowdy、あの丘にいるミュー(ラバ)と牛を連れて来るから一緒に来い」
Western Horseman誌に載っていたのを読んだ事があると書いたら嘘になるから写真を見た。ミューを使ってのHeelの練習。丘には牛3頭と1頭のミュー、気分はCowboy、ローハイドは3千頭の牛を運ぶのだが、Japanese Cowboyは3頭でも満足である。
私はJACKの後をついて行き丘からアリーナへと追い込んだ。そのアリーナとはそのまま試合が出来る本物、JACKはミューだけを引き連れて
「これからHeelの練習をやる」
「えッ昨日のDummyですら満足に掛からないのにHeelの練習をやると言われても」
と言いたいのだが、話せないので
「まっいいか」 てな具合で練習を始めてしまっのが間違い、そりゃ掛からないのは分かっているが下手な鉄砲も数打ちゃ当たるじゃないけれど、投げてるうちには何時かは掛かるだろうと安易な気持ちになっていた。
上手い奴が投げるのならこんな辛い思いはせんだろうが、ミューだってRopeが当たれば痛いから蹴飛ばすよ。大昔の人はよく言ったもんだねェ、"生兵法は大怪我の元"世の中には魔がさす事もあるんだ。運悪くミューの後ろ足に掛かってしまった。さぁ大変だ後の処理をしなくてはいけない。

"Darry"だよ。此処に(USA)来て初めて聞いた言葉、おまけに2、3日前に正式に教わった事が早くも実戦と来た。
この時は何も考えないで反射的にサドルホーンに巻きつけたが、ホーンとRopeの間に親指の先を挟んでしまったのだ。
「痛ッてててて」
必死で抜こうとしたが馬とミューの引っ張り合いで頭の中はパニック、痛いのが先だから抜こうと懸命に引っ張っていた。冷静に考えれば馬を前に出せばいいことなのだ。抜けたが、手袋を外してみたら既に内出血していて黒ずんでいた。もっと深く挟まれていたら親指は無かったろう。
実際、紹介されたRoperの中には人差し指、中指、薬指の三本を失ってた人もいたが、それでも彼らはRopeを握っているのだ。 「ビールのコップを持つには不自由しないんだ」
と明るく笑っていたのが痛みを忘れさせてくれた。
つづく