Horseman's Column title

   VOL.6 「思うこと」 

レベルアップして上手くならないと、それが出来ない。
 しかし、ただ思うこと(意識すること。)は、直ぐに出来るし、誰もが出来る。
取り敢えず思うことで、改善できることはヤマほどある。
思わないことには、出来るようにならないし、そこから上達が始まる。

1. ガイド(Guide) 誘導

  ライダーが馬をガイドするということは、馬がライダーに集中して、他のことに意識が囚われていない
という状態を作れればより容易にガイドできる。
ライダーは、馬の行動がライダーの指示によるものなのか、馬自身の意志での行動なのかを察知しなければ、
指示のタイミングもその方法も的確にすることが出来ない。
 ライダーが馬をガイドするには、詳細にガイドの要因を意識しなければ、馬の行動の是非をリアルタイムに
察知することが出来ない。

A.  サークルでも直進運動でも、何処のポイントを通過するのか、
   何本目の杭(馬場の朴柵)に向かうのか、どんな軌道を描くのか、その目印をイメージする。
B.  フェンスを頼らずに、馬をガイドする。 フェンスから絶えず2m以上離れてガイドする。
C.  左右のレインの長さを原則的に均等にする。
D.  馬のフレーム。
   フェイスとショルダーとヒップの3点の位置の相関関係を操作するつもりでガイドする。
   (例)内方姿勢:フェイスとヒップを結ぶ線に対して、ショルダーが少し外側に位置する。
E.  馬の進行方向は、馬の縦の中心線に対する前肢と後肢の踏み出し角度の差で決まる。
   後肢に対して前肢の踏み出し角度が大きければ、前肢のステップ方向へ進行し、後肢の
   踏み出し角度が大きければ、前肢のステップ方向の反対側へ進行する。
F.  ビットの中のマウスピースの向きを気にしてレイン操作をして、ガイドする。


2.トランジション(Transition)移行

  乗馬において、運動のトランジション(移行)は、スムースに行うようにするということが
不文律と言ってもいいことであり、馬にとっても大変な運動エナジーを使うことであり、
メンタル的にもハードな要求だということが出来る。
 運動のトランジションをスムースに行うには、馬のリラックスを維持し、フィジカル的に
充分な準備態勢を作った上で要求しなければならない。


A.  停止から常歩、速歩、駈歩の発進時における馬のフレームは、
   内方姿勢か真っ直ぐになっていますか。
B.  常歩、速歩、駈歩それぞれからの停止における馬のカデンス(歩調 Cadence)は、
   リズムは、踏み込みはいいですか。
C.  馬の歩様や運歩を感じ取れるようになるには、トランジションの時が継続運動の時より
   アクションが大きく感じ取りやすい。
D.  ゲイツ(Gait 歩法 Walk, Trot or Jig, Lope or Canter )の変換の時の瞬間。
E.  方向の転換、サークル運動における軌道の変更。右から左、左か右へのサークル運動における
   方向の転換。サークル運動から直線へ、直線運動からサークルへの転換。
   これらの転換時における馬のフレーム(態勢)の準備が整っていますか。
F.  リードチェンジ(踏歩変換)の時、充分な馬のフィジカル的態勢が整っていますか。
   馬のフレーム(馬のフェイスとショルダーとヒップの3ポイントの位置関係。)
   /前進気勢(ドライブ)。

3.目 的

  目的とは、乗馬そのものの目的や、運動そのものの目的、全ての運動は何かしかの準備運動である。
 乗馬は、馬の調教のためにあり、ライダーの練習にあらず。
 短期的目標。今やっている運動は、何のための準備運動ですか。今日に一鞍は、どんな明日を作るため?
 長期的目標。今やっていることは、3ヶ月後のどんなことに結びつきますか。
最終的にどんな馬になりますか。


A.  何を目的に、何をしようとしているのでしょう。
   1)リラクゼーション-----馬のリラックスを作る。馬の挙動やその変化に注目。
   2)ウオーミングアップ-----馬の心肺機能のアップや問題点のチェック。
   3)プリパレイション(準備運動 Preparation)
     馬のフレーミング。ドライビング。
   4)トレーニング-----馬の従順性の増幅やパフォーマンスの精度アップのためのエクササイズ。
   5)クールダウン-----馬の心肺機能の鎮静と精神の安静。
B.  プレッシャーの加減は、馬の学習を決める。
   馬の反応の後のリリースは、馬の学習を促進し、強いプレッシャーは、懲罰(否定)を意味する。
   レインやスパのプレッシャーの加減。
   1)ハミは、どのように当たっていますか。左右均等ですか。内側だけ短くなっていませんか。
   2)脚やスパは、どのように当たっていますか。
   3)踵は下がっていますか(ヒールダウン。)脹ら脛で馬を感じられますか。
   4)脚の位置はどうなっていますか。前肢を動かしたいですか。後肢を動かしたいですか。
     前後肢をどのようなコンビネーションで動かしたいですか。
C.  駈歩発進とは、どんな指示? 外方後肢から内方前肢への運動エナジーの発揚。
D.  スピンターンは、どんな運動? 前肢と後肢のコンビネーション。
E.  リードチェンジは、どんな運動? 駈歩運動中の駈歩発進。

4.馬の理解

  馬に、ライダーの意志を単純で分かり易い方法で伝える。
  同じ運動の繰り返しと、同じ場所でのとの相関関係。


A.  一つ一つの運動を区切って、その間になるべく休みを入れる。
   1)マウント直後の歩行開始。(馬が運動開始の合図があるまで停止を維持する。)
   2)ストップとロールバック。ストップと方向転換。ストップとバックアップ。
     (2つ以上の運動をなるべく連続動作として行わないよう心がける。)
   3)方向転換とリードチェンジ。(同時に行わないように心がける。=@  1)  
     右スピンと左スピン。(ヒジテイトを入れるようにする。)
   4)右から左へ、左から右へのそれぞれのリードチェンジ

B.  指示した運動の後に、何をあなたはしますか。
   馬の反応の後のリリースは、馬の学習を促進し、強いプレッシャーは、懲罰(否定)を意味する。
   1)リリースするか、更にプレッシャーをかけますか。
   2)スピードコントロールの後に、直ちに休みますか。それともそのままサークル運動を続けますか。
    また、スピードコントロールを繰り返しますか。
   3)サークル運動中の軌道修正のためにレイン操作した時、リリースしますか。ハミを当てたまま
     もう軌道がずれないようにプロテクトしますか。

C.  同じ場所で同じことを繰り返すと、馬はその場所に来ると自らその運動を行おうとする。
   1)マウントディスマウントの場所。(馬場の中央。)
   2)ストップの場所。(絶えず異なる場所を意識的に行う。)
   3)右サークルと左サークル。(区切りをつけるか、変更して直ぐに元のサークルに戻るのでなく、
     何周かしてから元のサークルへ戻るように心がける。)


5.ホースマンシップとマナー

  馬の特性を理解して、馬と接すること。馬に分かり易くと絶えず考えて、馬に接する。
この事がホースマンシップでありマナーであるが、その目的は、人が馬をコントロールするためと
忘れずに。本末転倒すると、我が儘な馬ばかりになってしまいかねない。

  A. どうして馬場の真ん中で、上下馬(マウント、ディスマウント)をしますか。
  B. 騎乗したまま、馬場を出る時、何かする必要ですか。
  C. リーディングする時、どうしてリーダーの前へ馬を出さないようにするのでしょう。
  D. 馬に近寄る時、馬の何処に近寄りますか。どんな速度で近寄りますか。
  E. リ−ダーに必要なことは、イニシアティブに基づく一貫性。


6.意 識

  A. あなたは、今何を意識していますか。
  B. あなたは、今どこを見ていますか。
  C. あなたは、今何を考えていますか。
  D. あなたは、今何が気になっていますか。
  E. あなたは、今左右均等ですか。(左右の鐙への加重。 左右のレインの長さ。)
  F. あなたは、今どこを向いていますか。(肩の向き。 腰の向き。)
  G. あなたは、今サドルへのお尻の接地面をどの程度感じていますか。

        

著作      2005年7月25日
修正      2007年8月07日

        土岐田 勘次郎

  



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